膠原病グループ

RHEUMATOLOGY GROUP

膠原病グループ

難病とされる膠原病をあつかう臨床教室として、私たちに与えられた使命は「新規治療法の開発」につきますが、新規治療を生み出すためには膠原病の病態を正確に把握しなければならず、「膠原病の病態解明」が重要な目標となります。私たちはこの目標をめざして日々研究を続けております。

基礎研究

抗リン脂質抗体症候群

 抗リン脂質抗体症候群( APS )は、抗リン脂質抗体( APL )とよばれる自己抗体と関連する、血栓症と妊娠合併症をおこす自己免疫疾患です。全身性エリテマトーデスに併発することが多いのですが、単独で発症することもあります(原発性APS)。APSは膠原病の難治性病態のひとつとされています。その理由に、1.臨床症状は生命予後にかかわる場合がある、2.再発が極めて多い、3.抗血栓療法に抵抗性の症例がある、4.ステロイドや免疫抑制剤が無効、5.多彩な合併症がある(血小板減少、神経症状、弁膜症など)、などがあげられ、その診療には幅広い知識と経験が求められます。
 APLの検出には煩雑な検査を必要とし、その為、APSの確定診断が困難なことがあります。また、APLそのものがAPSをおこすことは種々の動物モデルで検証されていますが、その機序は未解明な点が多くあります。そのため、特異的治療の確立が困難で、血栓症に対しては現時点では抗凝固療法など抗血栓療法が主な治療法となります。しかし、出血症状など副作用の発現や、十分な治療効果が得られず再発を繰り返す場合もあります。APSは治療が可能な習慣流産ではいちばん多い疾患で、へパリン治療などで生児を得られることが多いのですが、それでも30%の患者さんは流産を繰り返してしまいます。 私たちはこういった点について改善をすべく研究を進めております。
 私たちの研究の目的は、APSを早期に正しく診断する方法を確立すること、そしてAPSがおこる機序を確かめて、より確実な治療方法を開発することです。

全身性エリテマトーデス

 全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus : SLE)は、20歳から40歳代の女性に好発する自己免疫疾患で、発熱や皮疹、関節痛など多彩な臨床症状を呈し、多様な自己抗体の出現、他臓器障害を特徴とします。推定患者数は、日本では5~6万人と比較的稀な疾患ですが、当科では300名を超えるSLE患者をフォローしており、日本でも屈指の規模を誇ります。現在、当科ではヒト末梢血、細胞株、マウスモデルを用いてSLEの病態解明に関する研究を進めています。また、蓄積した豊富なデータベースを用いてSLEの重要臓器障害である、ループス腎炎や精神中枢ループスの疫学研究を行っています。

関節リウマチ

 関節リウマチ (Rheumatoid Arthritis : RA)は、40歳代の女性に好発する自己免疫疾患で、多関節炎、関節破壊を特徴とした疾患です。現在、患者由来の滑膜線維芽細胞を用いて、関節リウマチの病態解明に関する研究を進めています。また、新規薬剤による治験や臨床研究も行なっています。

 

臨床研究

診療活動と密接に関連した、非常に多くの単施設もしくは多施設の臨床研究が行われています。代表的なものとして、ステロイド性骨粗鬆症を合併する関節リウマチ患者を対象としたsodium risedronateの骨密度に対する影響の検討(プラセボ対照多施設共同二重盲検比較試験:RISOTTO試験)を関連施設の協力のもと行っています。またシェーグレン症候群患者の唾液腺および末梢血における遺伝子発現およびウイルス感染、炎症増幅回路の活性化の解析を米国国立衛生研究所(Molecular Physiology and Therapeutics Branch, National Institute of Dental and Craniofacial Research)のJohn Chiorini先生との共同研究で行っています。他、全身性エリテマトーデスにおける動脈硬化の検討(大村大学院生)、成人ループス腎炎患者におけるミコフェノール酸モフェチルの使用実態調査(嶋村大学院生)、抗リン脂質抗体陽性血小板減少症における血栓症発症リスクの解析(久田大学院生)、全身性エリテマトーデス患者における特発性大腿骨頭壊死症の背景因子の検討(久田大学院生)、膠原病性肺動脈性肺高血圧症の予後の検討(中村大学院生)、抗リン脂質抗体症候群における補体制御因子と代替経路活性化に関する研究(中村大学院生)、強皮症に対する自己造血幹細胞移植療法の長期フォローアップ(中村大学院生)、膠原病患者における血中プレセプシン測定の有効性に関する研究(谷村大学院生)、ループス腎炎の長期腎予後(河野大学院生)、ループス腎炎に対するミコフェノール酸モフェチルによる寛解導入治療の有効性に関する検討(河野大学院生)、抗リン脂質抗体症候群における動脈血栓症再発予防に関する研究(大西大学院生)、関節リウマチにおける全身MRIの有用性(阿部医員)などがあります。
これら以外にも、新規生物学的製剤の治験への参加や厚生労働省班研究の多くにも参加しております。

膠原病グループの臨床研究

主な学会活動

日本内科学会
日本リウマチ学会
日本血栓止血学会

日本免疫学会
日本臨床免疫学会

日本炎症再生学会
日本骨粗鬆症学会

日本アレルギー学会

日本検査血液学会

 

グループの取り組み

メンバーリスト

 

氏名 役職 出身大学 卒業年度
渥美 達也 教授 北海道大学 1988年(昭和63年)
保田 晋助 准教授 北海道大学 1994年(平成6年)
マリア・オルガ・アメングアル・プリエゴ 助教 Autonoma大学 1989年(平成元年)
坊垣 暁之 助教 旭川医科大学 1996年(平成8年)
奥 健志 講師 北海道大学 2001年(平成13年)
加藤 将 助教 北海道大学 2003年(平成15年)
藤枝 雄一郎 助教 日本大学 2004年(平成16年)
嶋村 抄苗 医員・大学院生 東京慈恵会医科大学 2008年(平成20年)
中村 浩之 医員 札幌医科大学 2009年(平成21年)
菅原 恵理 医員・大学院生 北海道大学 2010年(平成22年)
大西 直樹 医員・大学院生 札幌医科大学 2011年(平成23年)
河野 通大 医員・大学院生 北海道大学 2011年(平成23年)
谷村 瞬 医員・大学院生 岩手医科大学 2011年(平成23年)
阿部 靖矢 医員・大学院生 北海道大学 2013年(平成25年)
狩野 皓平 医員・大学院生 北海道大学 2013年(平成25年)
下山 修平 医員・大学院生 北海道大学 2013年(平成25年)
麻生 邦之 後期研修医・大学院生 藤田保健衛生大学 2014年(平成26年)
佐藤 太貴 後期研修医・大学院生 宮崎大学 2014年(平成26年)
蜷川 慶太 後期研修医・大学院生 北海道大学 2014年(平成26年)
中埜渡 美佳 後期研修医 旭川医科大学 2016年(平成28年)